ども、プロデューサです。今月もトヨシマさんのコラムをお届けできます。
今回は出会いについて...
六本松の九州大学教養学部の裏手に谷公園という公園があります。 その公園から樋井川に架かる橋を渡って別府団地まで桜並木が続いており、春には私の一番好きな花見の場所になります。 25年以上も通っている大好きな道なのに、なんとなく薄気味の悪い印象があって谷公園にだけは一度も行ったことがありません。 谷公園は別名、陸軍墓地とも言います。
ところで、私の今の仕事は8月と12月になるとほとんど現場がなくなり暇になってしまいます。 ある職人が休憩時間になると読んでいた本のことを思い出し、去年の夏に司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読んでみました。 そして冬の閑散期に入ったので、今度は以前から気になっていた水木しげるの『昭和史』というマンガを読みました。 『昭和史』は作者の当時の様子が随所に挿入されており、それが救いとなる場合があるものの全体のトーンは暗く重いものです。 これが日本のほんの100年前のことなのかと驚かされます。読み終えるとなぜか陸軍墓地に行かなければならないような気がして、 去年の大晦日に25年以上登ることのなかった階段に足をかけました。上ってみるとそこにあった巨大な石碑群に圧倒されましたが、 さらに私があらためて絶句してしまったのはその石碑に刻まれた幕末、明治、大正、昭和にかけた歴史の重みの数々でした。 明治維新から始まり、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変、第二次世界大戦・・・・。
石碑群を前に私が天啓のごとく強烈に感じたのは「用意が整わなければ出会えない」ということでした。 『竜馬がゆく』はともかくとして、『昭和史』というパスポートがなければ、私は陸軍墓地に入らせてもらえなかったのではないか と個人的に感じたのです。人それぞれ何かしら経験しなければならないことが大なり小なりあって、それをクリアした時に絶妙な タイミングで、必然としか思えないような出会いをすることがあるような気がします。