今月のトヨシマさんのコラム、ちょっと早いですけど、どうぞ。
先日現場が終わって帰宅途中の車の中でラジオを聴いていると、聞き覚えのある名前が聞こえてきた。DJが紹介する。「とんちピクルスさんです。」(あれっ、松浦さん!?)話を聞いてみると、全国流通のCDが発売されるらしい。椎名林檎といえば室見川だが、松浦浩司といえば金屑川。どちらも歌詞の中に自分のホームリバーを織り込んだ名曲がある。僕にはその川を歌詞にした曲はないが、僕のホームリバーは西から数えれば室見川、金屑川の次、樋井川。前の二つの川と同じく、やはり百地浜にそそぐ。
なんてことのない小さな橋かもしれないが、僕はこの世の中で梅光園橋の上から見る景色が一番好きでたまらない。橋の上に立ち止まり、油山を見たあと、振り返って、福岡ドームの丸い屋根を見る。そして樋井川を眺める。春には別府団地から谷公園にかけて並ぶ桜が満開になり、夏には大濠公園の花火大会の花火が見える。
そうそう、橋の上だけでなくこの橋の下も大好きな場所だ。新田島橋から梅光園橋までの間には川沿いに遊歩道があって、道路から降りて川べりを歩くこともできる。ここは浮世離れした空間で、鯉や川魚やカメ、たまにはヘビなんかもいるし、鴨やサギ、山鳥やカラスやスズメなどが日向ぼっこをしたり、砂地で体を洗ったりしている。以前、産廃処理業者が川上に廃液を捨て、動物たちが死んでしまったこともあったが、今は何事もなかったかのように復活し、むしろ以前より動物たちの姿は増えているようだ。ちょうど梅光園橋の近くに川の流れを調節するためなのか、子供たちが遊ぶためなのか、石畳が敷いてあり、こちらから川を渡ることもできる。僕のこのクロスロード(クロス・ア・ブリッジ&アクロス・ア・リバーか?)はただの平面ではなく三次元的な奥行きを持っている。
ちょうど真ん中なんだ。中央区と城南区を分ける川。油山から百地浜の間にある橋と石畳。気分しだいで、山に行ってもいいし、海に行ってもいい。この川に沿って行けば大した時間もかからずに、どちらにもたどり着く。油山の細く小さな湧き水が、福岡ドームの横を流れる深く大きな流れになって人工浜にそそぐ。自然と人為の真ん中。春に、夏に、秋に、冬に、梅光園橋の下、樋井川の流れのど真ん中のコンクリートの石畳の上に座り、川上を眺め、川下を眺める。自分が流れの途中にいることを実感する。