匠の蔵~words of meister~の放送

柿薗花火【花火 宮崎】 匠:柿薗兼利さん
2013年07月27日(土)オンエア
宮崎県唯一の花火製造メイカー『柿薗花火』の代表、柿薗兼利さん。「エンターテインメント性に優れた多種多様な花火は、古来より先人たちが幾多の苦労を乗り越え、現代の高度な技術を取り入れて作られた努力の結晶です」と、柿薗さんは、そんな時代を超えて築かれた高度な技術を貪欲に取り入れ、更に研鑽を重ね花火を製造。大規模な花火大会のみならず、個人の祝い事や町の行事など、幅広い舞台で活躍する。「花火を製造する上で私が心がけていることは、まず安全であること。火薬という危険物を扱う仕事ですから、ヒューマンエラーのないように細心の注意を払っています。そして、もう一つは素人目でも分かる技術を追求するということです。職人は、どうしても複雑でマニアックなモノを作りたがるんですよね。業界の人たちは目が肥えていらっしゃいますので、それでも分かるのですが、一般の方には理解できないと思うんですよ。ですから私は、そういう職人がマニアックな方へと向う技術を、よりシンプルな方へと向けて、誰にでも一目で理解されやすく、目に映りやすい花火を製造しています。せっかく作った花火が理解されないのは、やはり悲しいことですからね」。花火職人のような基準とするモノがない創造的な仕事の世界では、羅針盤を自分自身の中に求め、方向を定め、進んでいくしかない。それは誰を楽しませるためにあるモノなのか。そんな羅針盤をもって航海するからこそ、柿薗さんの花火は、多くの人の心に、ひと夏の感動を残す。「花火職人の技能を競う大会でも、本当に賞を獲っている花火というのは、意外にシンプルなんですよね。審査員の方、一般の方が、分かりやすい花火というのが、やはり感動の大きいことの証だと思います」。そんな柿薗さんは、宮崎唯一の花火製造メイカーとして、南国らしさをイメージさせる花火の製造にも取り組んでいるという。「県外に出品する場合は、特に宮崎の花火として見られますからね。鮮やかな南国の雰囲気を演出する色の研究や宮崎の県木でもある『フェニックス』をイメージした花火を製造するなど、やはり宮崎にはこだわっています」。そうして、柿薗さんは花火職人の仕事に誇りをもちながら、日々、観る者を感動させる花火を製造し続ける。「宮崎では口蹄疫や新燃岳の噴火が記憶に新しいところですが、さらに東日本では大震災もありましたよね。その際に、改めて私たちの仕事の役割を再認識させられたんですよ。花火の役割は皆さんに観ていただいて、少しでも元気になってもらう。少しでも楽しい気分になってもらうことにあると思うのですが、そうして観てくださる方々の気持ちを考えると、やはり軽い気持ちでは作れないなと。私たちの職業というのは、災害などがあったときに、食べるとか、住むとか、生活を支える仕事と比べると、どうしても真っ先になくなってしまうモノなんですが、そういう大事な役割をもっているということを考えると、絶対に甘えるわけにはいきませんよね」。日常の生活の基盤を支える仕事はもちろん大事だが、一方で非日常を提供するエンターテインメントの仕事は、人々の生活を、より豊かに、より活力あるモノにする力をもっている。だからこそ、柿薗さんは花火の製造に、一切の妥協なく情熱を傾ける。冬の工場の片隅で真っ黒になりながら。「花火を製造する仕事は本当に地味なんですよね。冬の寒い工場の中で、毎日、真っ黒に汚れながら人目にもつかず、作業するわけですよね。その中で、夏に花火打ち上げるときの空のイメージや、観客の笑顔を思い浮かべながら花火を製造する。そんな世界なんですよね」。

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