匠の蔵~words of meister~の放送

緒方建設工業【左官職人 熊本】 匠:荒木新二さん
2013年06月22日(土)オンエア
菊池市の建設会社『緒方建設工業』に勤める若き左官職人、荒木新二さん。左官技能の日本一を競う『第46回技能五輪全国大会』で金賞を受賞した高度な技術を駆使し、様々な建設工事を請け負う。「中学卒業後に、やりたいことがなかったため、軽い気持ちで実家が営む左官業の道に入ったのですが、先輩職人たちの左官仕事に感動し、徐々に魅せられていきました。そして、左官職人となるからには日本一を目指そうと、『技能五輪全国大会』に挑んだのですが、初めて参加した大会で自らの技術の未熟さを知ったんですよね。それからは毎日、仕事が終わった後に作業場で練習に励み、3回目の大会で、やっと日本一になることができました。何事も頑張れば結果がでるということを実感し、努力することの大切さを改めて思い知らされました」。しかし、その賞が、荒木さんにプレッシャーとして圧しかかるように。「賞をとってからは、良い仕事をして当たり前というプレッシャーを感じるようになったんですよね。世間の評価と、自らの理想とする技術とのギャップから負い目を感じていたのですが、わき目も振らず仕事に邁進した結果、2年後にはプレッシャーからも開放されて、自分自身で壁を乗り越えられたような気がしました」。そんな荒木さんは現在、製作の手間や難易度の高さ、需要の低下などを理由に作り手が減少している『かまど』の製作にも情熱を燃やす。「それまで『かまど』を製作した経験がありませんでしたので、最初は断ったのですが、飲食店を営む施工主から『1年後でもいい』との言葉をいただき、1年間、本を読み漁り、また、伊勢まで『かまど』を見にいくなど勉強し、試行錯誤の末に完成させました。難題はチャンスと言うか、自分を成長させてくれるモノですから、この時、1年間の猶予をくれた施工主には本当に感謝しています」。以来、荒木さんはどんな難題でも、左官仕事と呼ばれるモノなら断ることをしない。「とにかく誠意を尽くして、やり遂げるのが自分のスタイルと言いますか、人が難しいと思うどんな難題でも、努力と工夫次第で乗り越えられると思うんですよね。左官仕事は人に喜んでいただき、ご飯を食べられるありがたい仕事ですから、自分は必ず施行主の想いに応えられる職人でありたいと思っています。」。そんな荒木さんが情熱を傾ける左官仕事の魅力は、やはり奥深い。「左官仕事の魅力は、色褪せない良さがあるというか、朽ちていくほど良いというか、そういう味があるところなんですよね。10年後、20年後と時間が経ったときに、どのような仕上げになっているのかが重要で、建物とマッチしている姿、木材と同じように朽ちている姿が、日本家屋がもつ本来の美しさですからね。ですから左官仕事は完成がゴールではなく、完成してからがスタートなんです。完成して満足していてはいけませんよね」。その壁は木材のみではなく、そこに積もっていく住む人の思い出とともに、さらに味が深まっていく。そんな時を重ねるごとに強い輝きを放つ仕事に魅せられた、現在26歳の若き左官職人、荒木さんの10年後、20年後の姿も楽しみだ。「自然素材を使って素材の美しさを自分の手で生み出せると思うと、すごくドキドキするんですよ。仕事をしていて、僕自身が一番、楽しんでいるのかも知れませんね」。だからこそ、荒木さんは言いきる。「左官仕事は間違いなく天職です」と。

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