FM 福岡 FUKUOKA

2025年10月18日放送
「60代の女性が亡き夫へ宛てた手紙」

早いもので、あなたが旅立ってからもう12年が経つのですね。

十三回忌を機に整理した、あなたの遺品の中から結婚指輪を見つけました。

食品を扱う仕事柄、指輪をはめることがなかったあなたのそれは、まだピカピカで、

結婚式当日...はにかむあなたの指に私がはめた時の輝きを、まったく失っていませんでしたよ。

年を重ね、少しずつ自分の指輪がきつくなってきた私の指に、

あなたの指輪が合うんじゃないかしら...と、はめてみると自分でも驚くほどぴったり。

以来、「あなたは華奢だったから」と言い訳を呟く私の左手で、

あなたの結婚指輪がいつも光っています。

不思議なものですね。

それからは常にあなたがそばにいるように感じて、日々の寂しさが少し和らいだ気がします。

けど、やっぱり寂しい...

私が指輪をさすっている時は、そんな気分の時だから優しく慰めてくださいね。

そういえば、あかりが来年、結婚することになりました。

可愛い一人娘のウエディングドレス姿を、一緒に見守ってくださいね。

これからは嬉しい時も悲しい時も...どんな時でもずっと一緒です。

私たち家族にたくさんの愛情を注いでくれた、あなたの存在を指輪から感じながら生きていきます。

改めて、どうぞよろしくね。