2026年6月20日放送
「旅館の女将業を引退した70代の女性が、いまは亡き父親へ綴った手紙」
庭のクチナシの花の甘い香りが、雨でより濃厚に感じるようになりました。
お父さんの好きだった白いクチナシですよ。
この春、女将としての仕事を引退し、もうすぐ3カ月が経とうとしています。
50年前、老舗旅館の跡取りである夫のもとへ嫁がせてくれたお父さん。
厳格なお父さんが「どうしても辛抱できんかったら帰ってこい」と言ってくれたのには驚きました。
以来、厳しい女将修行に泣きたくなる夜も、逃げ出したい朝もありました。
そんな時、お父さんは、いつも心が軽くなるような言葉をかけてくれましたよね。
「お客様は神様じゃない。遠くから来てくれた大切な人だと思え」。
「何でも自分でできると思うな、人を頼れ」。
ぶっきらぼうにそう諭すお父さんの言葉一つひとつに、私はどれだけ救われたことでしょうか。
ただ、「説教されてる時は畳の目を数えてろ、そのうち終わる」は、実践できませんでしたが(笑)
そうして立派とは言えないかも知れませんが、女将業を務め上げ、
娘に託すことができたいま、お父さんに褒めてもらいたくて手紙を書きました。
お父さん...若女将から女将になった姿を見せることはできませんでしたが、
私は、ずっとお父さんが遺した言葉に背中を押してもらいながら歩んできましたよ。
本当にありがとうございました。
ようやく肩の荷を下ろした私のように、どうか、そちらでも穏やかに過ごしていますように。
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