2018年3月アーカイブ

2016、17年と2年続けてプロ野球のリーグ優勝を果たした広島東洋カープ。
昨年は4番打者が怪我で離脱するピンチに見舞われましたが、このとき代役を任され大活躍をしたのが松山竜平選手でした。

ヒーローインタビューで必ず
「鹿児島のじいちゃん、ばあちゃん、今日俺やったよ!」と叫ぶ松山選手。
実はこれには訳があります。
鹿児島の高校時代は活躍するも甲子園出場はなく無名で、北九州市の九州国際大学へ進学しますが、私立大学の学費を悩んだとき、祖父が「心配するな」と大事に育てた牛を売って援助してくれたのです。

大学では首位打者や本塁打王、打点王に輝き、通算安打122本で九州六大学リーグの新記録を樹立するなど活躍。
2007年のドラフト会議では開始から1時間半を経て、広島東洋カープから4巡目でようやく指名を受けるのです。

この後の記者会見で松山選手は「おじいちゃんに本当に支えてもらった」と大粒の涙を拳で拭いました。
祖父のお陰で野球を続けることが出来た。プロへの道が開けた。
その感謝を松山選手は今もヒーローインタビューで伝え続けているのです。

四月は新入学の季節。
たくさんの愛に支えられて、今年も晴れやかな笑顔が未来に向けて羽ばたきます。

2018年3月24日「替え玉ランナー」

きょう3月24日は「人力車発祥の日」。
日本で最初に人力車の営業が始まったのが明治3年のこの日なのです。
明治から大正時代にかけて活躍した人力車は、現代に置き換えればタクシーの役割を果たしていました。

人力車を引くのは車夫と呼ばれる人。
客の行き先を聞いて座席に乗せると、両手で梶棒を掴んで「あらよっと!」という掛け声で人力車を起こして走り出すのが、車夫の心得でした。
その走りもまた現代のタクシー並みに5キロ10キロの距離は当たり前。
50キロの道のりを交代も休憩もしないで走り切る車夫もいたようで、並外れた脚力が車夫の命なのでした。

大正14年の箱根駅伝でこんなことがありました。
往路第3区を走った或る大学の選手が抜群の速さで、あっという間に4人をごぼう抜きしました。
でもそれは本来第3区を走る選手とは別人で、じつは大学から頼まれて替え玉として代走した人力車夫だったのです。
このことがバレ、その大学は翌年の大会を出場停止処分になりました。

それにしても、なぜ偽学生であることが簡単にバレたのか...。
それは彼が前のランナーから襷を受け取った瞬間、思わず「あらよっと!」と叫んで走り出したからです。
おまけに腕をまったく振らず、ぴったり腰につけたまま走ったのでした。

2018年3月17日「宇宙遊泳」

1965年3月18日、旧ソ連が打ち上げた宇宙船ボスホート2号が人類初の宇宙遊泳に成功しました。
初めて宇宙空間に出たのは、アレクセイ・レオーノフ。
宇宙飛行士として空軍から選抜された31歳の若者です。

宇宙遊泳と言うと何やら楽しそうな響きがしますが、実際はそうではありません。
宇宙空間では太陽が当たる面は150℃、日陰ではマイナス140℃という温度。このような過酷な環境に耐える宇宙服が必要ですが、その宇宙服が壊れると人間は死に至ります。
また、10億分の1の確率ですが、宇宙空間を飛び交う小さな隕石が直撃する危険もあるのです。
そんな危険を承知でミッションを引き受けたレオーノフは、地球の周回軌道上で約12分間の宇宙遊泳を行いました。
レオーノフは後にこう語っています。
「5mの命綱で宇宙船に繋がれながら、眼下にくっきりと広がる故郷・地球の美しさに目を見張った」

彼の宇宙遊泳の姿はソ連全土にテレビ放映され、多くの人々が感動しましたがただ一人、この偉業を理解してない人がいました。
それはレオーノフの父親。
彼はテレビに向かってこう怒鳴ったそうです。
「どの宇宙飛行士も宇宙船の中で真面目に仕事をしているのに、なぜ倅は外をうろついているんだ! 誰かあのバカ息子を連れ戻せ!」

2018年3月10日「説明の天才」

物理学の世界で20世紀最大の偉業を成し遂げたのが、アルベルト・アインシュタインです。
大学や研究所にいるわけではなく独学で26歳にして博士号を取得。
3つの論文を発表しました。

第1の論文は「光の量子論」。
それまで波と考えられてきた光が「光子」という粒子として振る舞うことを示し、量子力学の基礎を築いてノーベル賞を受賞しました。
第2の論文は「分子論」及びブラウン運動の統計について述べ、「原子の存在」を証明。
そして第3の論文が「特殊相対性理論」です。
さらに「一般相対性理論」を発表し、重力の新しい理論を打ち出したのです。

アインシュタインといえば相対性理論。
あまりにも有名な言葉ですが、相対性理論そのものは物理や数学の知識がなければ理解することが難しいものです。

あるときアインシュタインが社交界のパーティに招かれ、その場で一人の女性から相対性理論の説明をせがまれました。
学会で発表するならともかく、パーティの場で専門用語を駆使して説明するわけにはいきません。
でもアインシュタインはにっこり笑ってこう答えたのです。
「そうですね、貴方のようにお美しい方と一緒にいると1時間いてもわずか1分のような気がしますが、熱いストーブのそばにいると1分が1時間にも思える。それが相対性理論なのです」。

2018年3月3日「引退した雛人形」

桃の節句の雛人形。最近は2、3度飾ると不要になり、傷みも汚れもないのに人形供養に出して捨てる家庭が多いようです。
それじゃ人形が可哀想。もっと長生きさせられることはできないか...。
10年前にそんなことを話し合った主婦の集まりがあります。

その中の一人が、手に持った雛人形の着物をよく見ようと人形の手を広げてみると、「さぁいらしゃい」と人形が語りかけているように見えました。
顔の角度も少し捻るだけで表情豊かになります。
「そうだ、雛壇で女の子の成長を見守る役目を引退した雛人形には、第二の人生として好きなことを楽しんでもらおう」
こうして始まったのが、日常生活を表現する雛人形づくり。
役目を終えた雛人形をアレンジして、現代の暮らしに生きている姿にしたのです。

それを町の文化施設で展示すると大評判。
そこから発展したのが名古屋を中心に広がっていった「福よせ雛」福を引き寄せる現代風の雛人形の祭りです。

毎年冬から春にかけて公共施設や商業施設、個人商店などでさまざまなテーマを設けて雛人形の日常生活を展示。
8回目を迎えた今年は、名古屋、愛知、岐阜、奈良県の23会場で、雛飾りを引退した人形たちが居間でくつろいだり、麻雀を楽しんだり、美容サロンに通ったりと、第二の人生を思い思いに過ごしています。

アーカイブ