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2024年2月のテーマ 生わかめ、めかぶ、海藻類 ①

ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「生わかめ、めかぶ、海藻類」です。



海藻と一口に言っても、地球上にはおよそ8000種が生息しています。
日本では古代から食べられていて、8世紀に施行された大宝律令にも、地方からの税金の項目に記されています。
当時は食べられる海藻全般のことを「メ」と呼んでいて、その若いものを「わかめ」とし、それが今日の「わかめ」になるわけです。また、「めかぶ」は、「メ」の根本にある「株」ということです。
「わかめ」は、奈良時代になると歌にも詠まれ、平安時代には味噌汁の具に、江戸時代には産地名を入れた「ブランドわかめ」まで登場しています。そして、昭和に入ると養殖がはじまり、現在では、全国のわかめの製産高およそ10万トンの内90%以上は養殖わかめです。

さて皆さんは、わかめと昆布の違いは分かりますか?
似ているようで、そもそも品種も違いますし、旬の時期、成長する期間、産地も違います。
わかめは水深10mくらいの場所で1年かけて成長し、旬は春。昆布は水深20mくらいの場所で2年かけて成長し、夏が旬になり、しかも水温が低い北方でしか育ちません。また、昆布はグルタミン酸を含むため出汁として活用されますが、わかめにはグルタミン酸がないため、出汁には使いません。

日本人は、旬があるわかめを一年中食べるための工夫をしてきました。
生ワカメは旬のものですが、それを湯通しして塩漬けした塩蔵わかめ、それから水分を抜いたものが乾燥わかめとなります。他にも産地により、灰干し、板わかめなどに加工されることもあります。

さて、わかめは茶褐色をしていますが、火を通すと鮮やかな緑色になります。なぜでしょう?
わかめは本来、緑と赤の両方の光合成色素を持っているため、まざって茶褐色になっています。しかし、熱を加えると赤い色素が壊れてしまうので緑色になるのです。

そんなわかめですが、世界自然保護基金 イギリス支部が持続可能な未来の食材の一つとして取り上げたことで、今世界でも注目を集めています。肥料を使わずに育てることができて、低カロリーでデトックスになる成分もあり、ヘルシーだというのが理由です。もっとも、わかめなどの海藻類は日本人だけが食べているものではなく、韓国でも伝統料理の材料になっていますし、中華料理にも煮物があります。フィリピンには海藻を使ったサラダが、マレーシアでは「アガアガ」というデザートに使われ、アイルランドにも「カラギンモス」と呼ばれるデザートで使われています。
今が旬の生わかめもいいけど、デザートも魅力的ですね。
年中ダイエッターの身としても、海藻をドンドン取り入れていきたいと思います。
正月に食べ過ぎた方も、生わかめでデトックスしていきませんか?