2025年5月のテーマ ニンニク ①
ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「ニンニク」です。
ニンニクの原産国は、はっきりとしていませんが、一般に中央アジアだと言われています。
紀元前3,200年頃の古代エジプトからギリシャなどではすでに栽培されて、おもに強壮用に使われていました。
ピラミッドを建設する時、そこで働く人たちが、ニンニクを分け与えられていたことは有名です。
古代ローマでも力を必要とする労働者や兵士、奴隷や剣闘士に、スタミナ源としてニンニクが与えられたと記録されていますが、ローマ帝国に平和で裕福な時代が続くと、強烈な香りのニンニクを嫌うようになり、その結果、軍隊が弱体化してしまい、遂には滅亡してしまったとも言われています。ニンニクのパワー、すごいですね。
そのニンニクですが、世界各国で食べられています。
まずは、お隣、韓国。ニンニクは唐辛子と並ぶ大事な香辛料の一つです。
韓国の基本調味料に、「薬念(ヤンニョム)」というものがあります。
これはニンニク、唐辛子、葱、胡麻、生姜、醤油などを混ぜ合わせたもので、焼肉に下味をつけたり、キムチ、チゲ、ナムルなど、ありとあらゆる韓国料理に使われています。
トルコでも、代表的家庭料理マントゥをはじめ、多くの料理に使われています。
イタリアでは、「アーリオ、オーリオ エ ペペロンチーノ」や、「バーニャカウダ」、イタリアのお袋の味「ミネストローネ」、そのお隣、スペインでは、「ソパ・デ・アホ」というニンニク・スープがあります。
日本で、ニンニクを取り入れた代表的な料理は、鰹のたたきです。
さて、ニンニクには種子がないので、種類と言ってもそう多くはありません。
ホワイト六片、福地ホワイトは、今、日本で一番多く栽培されている品種で、鱗片の数も5、6と少なくて、調理もしやすいのが特徴です。
九州や沖縄などの暖かい地域で作られる主な品種は、壱州早生、上海早生です。
長崎には、大きく育った平戸ニンニクもあります。
ちなみに、最近流行りの無臭ニンニク、ジャンボにんにくは、植物学的にはユリ科のニンニクではありません。だから、ニンニクよりも匂いが少なく、マイルドな風味になっているのです。
ところで、このニンニクの匂いに悩まされているのは、全世界共通のこと。
アメリカ、インディアナ州では、ニンニクを食べた後、4時間以内に映画館、劇場に行ったり、公共の電車に乗ることが、法律で禁じられています。
日本では、源氏物語に、「ニンニクを食べて臭いので会えません。」という一節があります。
16世紀、フランス国王アンリ4世は、精が付くというので、ニンニクを毎日大量に食べていたので有名です。周りの人々は、国王に対して「クサイ」とも言えずに癖癖したそうです。
でも、なぜでしょう。
あれだけ臭いと言われるのに、料理しているときは、食欲がそそられてしまいます。
ニンニクの匂いは不思議ですね。
私は、今日もニンニクを食べて、五月病を吹き飛ばしたいと思います!