FM 福岡 FUKUOKA

2025年7月のテーマ 鰻 ①

ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「鰻」です。



ウナギ属は世界におよそ19種が確認されていて、そのうち食用にされるのは主にニホンウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギ、ビカーラ種の4種です。
鰻の生態の特徴は、カタユキ型の回遊魚だということ。
どの種も遠くの海で産卵し、川まではるばる旅をしてきて、川で育っていきます。
このような魚はとても珍しく、進化的にも興味深い部分です。
日本の鰻は日本からおよそ2,500kmも離れた西マリアナ海嶺付近で産卵して戻ってきたもので、ヨーロッパやアメリカで獲れる鰻は、バミューダ諸島周辺の
サルガッソー海から旅をしてきます。
もう一つの特徴は、一定の光から逃げて行く習性があるということです。
ニホンウナギは昼間に水深800メートル、夜間に水深250メートルの間を上下移動しています。そいて、もっとも光が少ない新月の時には、230メートルまで上昇するので、この時にシラスウナギ漁が活発に行われます。
また、海から川へと上るタイミングも新月だと言われていて、明かりが少ない時を選ぶことで、天敵から身を守っているんですね。

そんな鰻ですが、世界には、日本の蒲焼き以外にもユニークな料理法がたくさんあります。いくつか代表的なものをご紹介しましょう。
イギリスの「ゼリー・イール(Jellied Eels)」という伝統料理は、ぶつ切りにした鰻をゼラチンで固めた冷製料理です。見た目は独特ですが、ロンドンの下町では昔から親しまれています。
フランスの「マトロット・ダンギーユ(Matelote danguille)」は、鰻を赤ワインや香味野菜で煮込んだ煮込み料理。フランスらしい芳醇な味わいが特徴です。
スペインの「アリ・ぺブレ(Alli Pebre)」は、鰻をにんにくとパプリカで煮込み、ジャガイモを加えたバレンシア地方の郷土料理です。
ベルギーの「アンギーユ・オ・ヴェール(Anguilles au Vert)」は、鰻をハーブやほうれん草、白ワインで煮込んだ緑色のソースが特徴の料理です。
オランダやドイツ北部では、鰻の燻製が一般的で、塩漬けにした鰻を燻して食べます。日本ではあまり見かけない調理法ですね。
ドイツの「アールズッペ(Aalsuppe)」は、鰻と果物、野菜、肉を一緒に煮込んだスープで、ハンブルクの名物料理です。
中国の「鍋焼河鰻(グオシャハーマン)」は、鰻を蒸してから醤油で煮込む浙江省の料理。日本の蒲焼きとは異なり、焼かずに煮るのが特徴です。
ベトナムの「ルン・サウ」は、田うなぎを使った醤油風味の炒め物で、脂が少なく、ヘルシーな味わいです。

さて、今年の夏の土用の丑の日は、719日と31日の2回あります。
この日に「う」が付く物を食べると、縁起が良く、無病息災を願うだけではなく、夏バテ防止にもなるのだとか。
私も鰻を食べて、鰻登りの気温に負けないようにします。
皆さんも、鰻、どうですか?